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徳島の森をイチから整備!株式会社SOLABLEフォレスト / カーボンクレジット創出者インタビュー
徳島県三好市、高知県黒潮町の森林経営活動による森林吸収プロジェクトを行っている株式会社SOLABLEフォレスト様に、クレジット創出までの背景や経緯など詳しくインタビューさせていただきました。
株式会社SOLABLEフォレスト(旧:JAGフォレスト株式会社):西山さん、辰巳さん、山下さん
(インタビュアー:Sustineri社員)
クレジット創出のきっかけ
ーーーSOLABLEフォレスト様はどのような事業を行っているのでしょうか?
辰巳さん: SOLABLEフォレストでは、森林整備、木材生産に始まり、ドローンを使って森林整備を行う技術であるスマート林業の導入や木材バイオマスエネルギーの開発にも取り組んでいます。最終的には森林を価値ある資産へと変貌させるとともに環境保全・温暖化の抑制を目指して事業を行っています。
ーーー多岐にわたって事業を展開されていらっしゃいますね!森林の事業を始めたきっかけはなんですか?
辰巳さん : 元々は弊社のグループ会社が衛星リモートセンシングの事業に携わっており、行政の都市計画や、環境モニタリングなどを行っていました。新しく事業拡大を考えた時に、この技術を活用し、衰退が進む林業の活性化をすることができないか?と考えたことが森林事業に着手したきっかけです。森林事業は2016年頃からスタートしました。
ーーー その中でなぜクレジットの創出を始めようと考えたのですか?
辰巳さん:私たちが保有する山の価値をより高めることができると考えたからです。最初はシンプルに木を管理し木材を売ることで、山の価値を創出していました。それだけはなく、更に価値向上するための方法としてJ-クレジットの制度(経済産業省・環境省・国土交通省が運用、認証するカーボンクレジット化の制度)を知り、この制度により森林クレジット(森林の適切な管理・施業を行うことで二酸化炭素の吸収量の増加分を環境価値として認証したもの)の創出を行うことで更なる付加価値がつけられるのでは、と考えたのがきっかけです。
ーーー確かにCO2吸収は全ての木が潜在的に持つ“価値“ですね。近年の急速なカーボンニュートラル化により、森林の持つ価値は今後更に大きな注目を浴びると思います。
事業の大変なこと・やりがい
ーーー森林が吸収するCO2のクレジット化、と言われてもなかなか具体的にイメージが湧かない方がほとんどだと思います。淡々と(笑)お話されているのでクレジットを生み出すのは意外と簡単そうだなと勘違いしてしまいそうになりますが、実際にはかなり手間がかかると伺っています。
SOLABLEフォレスト様が特に苦労したことはどんなことでしょうか?
辰巳さん : 広大な敷地の中で、どんな種類の木がどの場所にどれくらいあるのか、という木の情報を正確に把握することはかなり苦労しましたね。J-クレジット制度下でCO2吸収量をクレジット化するためには、森林にある木の本数や種類・樹齢などからCO2吸収量を算出し、国に提出する必要があります。
森林の状態を把握するためには、実際に全ての木を一本一本調べるのではなく、木の種類・樹齢・本数をもとに計算式を用いてCO2の吸収量の概算値を出します。しかしこの計算式も結構複雑で、慣れないうちは何日もかけてやっと出した値がどう考えても間違っているぞ、となることも多く、正確な吸収量の算出にはとても苦労しました。
ーーーCO2量の算出は計算で求めるのですね!確かに何ヘクタールもある森の状態を数値に反映するのは複雑で、把握するのは骨が折れそうですね…
クレジットを創出するまで
ーーー森林からクレジットを生み出すには、一定の水準で管理された森林である必要があり、森の中で木がのびのびと生い茂って存在しているだけではダメなんですよね。
SOLABLEフォレスト様の森林は最初どのような状態だったのですか?
また、森林の手入れをしていくと本当に山の状態は変化するものなのでしょうか?
辰巳さん: J-クレジット化に着手した当時は、何も手入れをされていない状態だったので本当にゼロから森づくりをスタートしました。例えば、あまりにも生い茂っている状態だと木の枝や葉が重なることで陰が生まれ、きちんと成長できません。なので、不要な木や枝を間引いて残された木々が健全に育つように手入れをする間伐が必要になってきます。また、広大な森林の中を整備の車両や人が通るための林道設置など様々な森林管理を施しました。
これはしっかり手入れをした後の森の写真です。間伐をすることで日の光が入り、土壌の状態もどんどん良くなっていきます。木の手入れをすることが木の成長に直接つながっていくのを日々実感しています。
ーーー管理を施すことで土壌の状態まで変わっていくのですね。クレジットを創出できるような森林になるまでどのくらいの期間がかかったのですか?
辰巳さん : 2016年から事業を始めて、2019年にクレジット創出をしたので3年程はかかりました。
ーーー3年も!それほど時間がかかるものなのですね。
辰巳さん : はい。間伐どころか林道自体も当初はなかったですし、私たちが保有している徳島県の社有林は1,083ha(東京ドーム230個分!)の規模なので、やはりイチから始めるとなるとそのくらいは時間がかかってしまいます。
ーーーそれほど広大な森に一から林道を作るとは、気が遠くなる作業ですね…
ご苦労が多い分、やりがいも少なくないのではと思いますがいかがでしょうか?
辰巳さん : やはり、地球環境に貢献できているという満足感は非常にあります!環境のために直接的に貢献できる事業なので、地球に良いことやってるな~とは常に思っています。(笑)
山下さん : 私も辰巳さんと同時にJ-クレジットに関しては、目には見えないものを取引しているので実感は正直湧いていませんが、昨今の脱炭素のニーズに寄与できる可能性を感じています。
今後の展開と購入者さんへのメッセージ
ーーー今後はJ-クレジット創出以外に、森林とどのように関わっていかれるのでしょうか。
西山さん : 世界規模で気候変動が激しさを増し、日本の森林が抱える社会的課題も顕在化する中で、その課題を認識し、森林の持つ価値をあらためて評価することにより、林業の活性化や雇用の創出、ひいては地域の活性化の一翼を担っていきたいと考えています。林業そのものは決して収益性が高いわけではありませんが、地域の方々との連携によるクレジットで収益を作っていけるようなモデルを作っていきたいと思っています。
ーーー広大な森を保有する地域は過疎化が進んでいるケースも少なくないと思いますので、SOLABLEフォレストさんの目指す姿は地域の活性化が期待できますね!
最後にオフセットを検討している方々へのメッセージをお願いします!
西山さん : 私たちのビジョンや森林活性化への思いに共感していただけると嬉しいです。日本の森林クレジットを活用したカーボンオフセットや林業活性化を通じて持続可能な森林経営を目指して行ければと思います。
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株式会社SOLABLEフォレスト
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