カーボンオフセットの導入事例10選 | 国内外の企業の取り組みを具体的に紹介!

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カーボンオフセットの導入事例10選 | 国内外の企業の取り組みを具体的に紹介!

「カーボンオフセット』という言葉を最近よく耳にするけれど、自社でどう活用すればいいのか分からない。」「何から始めていいか分からない。」

このような悩みをお持ちの方が、少しずつ増えてきているのではないでしょうか。

この記事では、国内外のカーボンオフセットの取り組み事例や、クレジットを創出するプロジェクトについてもご紹介しています。最後まで読むことで、自社でどのようにカーボンオフセットに取り組むのがよいかのヒントになるかもしれません。

カーボンオフセットとは?

カーボンオフセットとは、努力しても削減しきれない温室効果ガスを植林や温室効果ガス削減活動への投資を通して埋め合わせをすることです。

カーボンオフセットについて詳しく知りたい方は、「カーボンオフセットとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」もぜひご一読ください。

カーボンオフセットへの取り組みの具体例

カーボンオフセットの代表的な取り組みを3つ紹介します。

1.製品・サービスオフセット

製品やサービスの製造・販売する方達などが、製品やサービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス排出量をクレジットでオフセットする取り組みです。

2.会議・イベントオフセット

国際会議やコンサートなどのイベントの主催者等が、イベントで排出される温室効果ガスをクレジットでオフセットする取り組みです。

3.組織活動オフセット

企業、自治体、NGO等が、事業活動によって排出される温室効果ガスをクレジットでオフセットする取り組みです。

また日本では、上記1〜3の類型に当てはまらない取り組みも行われています。下記で紹介する取り組みでは、国が定めるプロセスに沿わない部分もあります。しかし、市民などによる削減活動等の資金還流貢献につながります。

①製品・サービスのライフサイクルに含まれない温室効果ガスを埋め合わせる取り組み

例として、製品を製造・販売する者又は、サービスの主催者が、サービスや製品の提供及びイベント時のチケットと併せて、購入者や参加者の日常生活で排出される温室効果ガスの排出量の埋め合わせを支援する方法です。

②カーボンオフセットの対象や主体を設定せずにクレジットを無効化する取り組み

①と同様に主催者や販売者・提供者が、製品、サービス、イベント開催のチケットと併せてクレジットを購入し、無効化します。これにより、日本や世界全体の温室効果ガスの排出削減に貢献することを主張する取り組みです。

参考:我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)第4版

日本企業の取り組み事例5選

実際に日本の企業が行っている取り組み5選を紹介します。

1.キユーピー株式会社

キユーピー株式会社は、再生可能エネルギーやJクレジットを用いてCO2排出量削減に取り組んでいます。そして2つの活動を通してキユーピーグループ初のネットゼロ工場を達成しました。さらに、年間約3,680tのCO2排出量を削減していく予定です。

参考:https://www.kewpie.com/sustainability/eco/warming/

2.東北夏祭りネットワーク

東北の夏祭り約40団体と35商工会議所で構成する「東北夏祭りネットワーク」は「東北の国内クレジット」を用いてカーボンオフセットに取り組んでいます。夏祭りで電気や燃料を消費することで発生するCO2が対象です。

夏祭り開催により排出されるCO2に対しクレジットを購入して相殺するカーボンオフセットは、「「会議・イベントオフセット」に該当します。

参考:https://carbonfree.co.jp/news-detail.php?id=471

3.全日本空輸株式会社

全日空輸株式会社は「ANAカーボンオフセットプログラム」を提供しています。搭乗する区間のCO2排出量を計算し、クレジットを購入することで排出量を相殺する仕組みです。

搭乗する分のCO2排出量をクレジットで相殺するカーボンオフセットは、「オフセット製品・サービス」に該当します。

参考:https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/anacarbon_offset/

4.株式会社 ローソン

株式会社ローソンは、「CO2オフセット運動」に取り組んでいます。日常生活で減らすことができなかったCO2排出量を、クレジットを活用してオフセットする仕組みです。

「CO2オフセット運動」に参加することで自ら排出したCO2をオフセットすることが可能になります。

オフセット運動の概要図

参考:https://www.lawson.co.jp/company/activity/customer/co2/

5.山崎製パン株式会社

山崎製パン株式会社は、売上の一部を森林設備に充てる取り組みをしています。

岡山工場では、製品の製造に係るCO2排出量の一部をJクレジットを通じてオフセットしました。2017年6月までのCO2オフセット量は504tです。

また、新潟工場では、「トキの森クレジット」を購入し、トキの生息環境の向上のために佐渡の森林設備に活用されます。さらに、対象製品の売り上げの一部が森林生態系保全に充てられています。

参考:環境活動報告2018 (yamazakipan.co.jp)

また、Jクレジットについて詳しく知りたい方は、「Jクレジット制度とは?メリット・デメリットや取り組み事例、普及状況をわかりやすく紹介」もチェックしてみてください。

海外企業の取り組み事例5選

日本企業よりも活発にオフセットに取り組んでいる企業が海外には多く存在します。そのうちの5選を紹介します。

1.British Airways

British Airwaysは、ヒースロー空港を出発するフライトの一部で持続可能な航空燃料を使用しています。持続可能な燃料を用いることで、従来の燃料よりも最大80%のCO2排出を削減しています。

さらに、持続可能な航空燃料の開発を加速するため8億6,500万ドルの投資を約束しました。また、気候ソリューションプロバイダーのChoooseと連携し、CO2ラボレートプラットフォームを立ち上げました。

これにより、乗客はwebサイトを通じて航空チケットを購入する際にSAF・カーボンオフセット・認証された炭素除去クレジットなどを組み合わせて購入することが可能です。British Airwaysの活動は、「オフセット製品・サービス」に該当します。

参考:https://basustainabilityreport2022.co.uk/

2.DELL

DELLは、コンピューター機器を使用する際に排出されるCO2排出量をオフセットできるサービスを、米国の顧客を対象に提供しています。

顧客は、webサイトまたは販売ショップでコンピューター機器を購入する際に、クレジットを購入することが可能です。コンピューター機器代金にプラスしてクレジット代金を支払うことで、購入後3年間のコンピューター機器使用で排出されるCO2をオフセットできます。

DELLの活動は、「オフセット製品・サービス」に該当します。

参考:https://www.dell.com/ja-jp/dt/corporate/social-impact/advancing-sustainability/climate-action.htm#anchor

3.FIFA world cup

FIFA world cupでは、開催におけるCO2を削減する努力が行われています。

2006年ドイツ開催のworld cupでは、スタジアムで「EnBW AG」が提供する再生可能エネルギーの活用、公共交通機関の利用割合を増やすことに取り組みました。

11万4000tのCO2排出が見込まれていましたが、9万2000tに抑えることに成功しました。それでも、削減が難しいCO2 は、インドのバイオガス事業、南アフリカの下水汚泥ガス事業等のクレジットを購入しオフセットしました。

2018年ロシア開催のworld cupでは、決勝戦のペアチケットでキャンペーンを実施しています。応募者1人に対し、移動時にかかるCO2排出量2.9tをオフセットする資金をFIFAが提供する仕組みです。これにより、最大10万tの排出量をオフセットします。

参考:https://sustainablejapan.jp/2018/04/27/fifa-2018-world-cup-russia-offset/31756https://ideasforgood.jp/2018/05/16/fifa-carbon-offset/https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=5019

4.Aviva

Avivaは、炭素に配慮した自動車保険「Aviva zero」を提供しているイギリスの保険会社です。Aviva zeroに加入することで、車の運転・充電で排出されたCO2を相殺する仕組みを設けています。

なお、始めの1,000マイルまでのCO2排出量を相殺する費用は補償されます。しかし、1,000マイル以上のオフセットを希望する場合は、50%を自己負担、残りの50%は保険会社の負担として、100%のオフセットを実施できる仕組みです。

参考:https://zero.aviva.co.uk/

5.DHL

DHLは、世界中に物資を配送する物流企業です。DHLは、多くのCO2排出量を削減するために以下の取り組みを実施しています。

  • 海上輸送と航空輸送における持続可能な燃料の提供
  • Go Greenによる、全ての輸送ルートのカーボンオフセット
  • CO2排出量の少ない鉄道輸送の利用

参考:https://www.dhl.com/jp-ja/home/about-us/sustainability.html

カーボンオフセットに向けて企業・個人ができること

これまで企業のカーボンオフセットの先行事例を紹介してきましたが、これから私達一人一人や企業が、カーボンオフセットを実施していくことができます。

個人ができること:カーボンオフセット商品の購入

カーボンオフセットやCO2削減に努めている企業の商品を購入することで、企業の取り組みをサポートすることができます。ここでは、カーボンオフセットに力を入れている企業を3つ紹介します。

株式会社ニチレイフーズ

株式会社ニチレイフーズは、2014年から「お弁当にGood!地球にGood!プログラム」シリーズの売り上げの一部で森林クレジットを購入しています。本格炒めチャーハン・こんがり&ジューシーミニハンバーグなど冷凍食品がカーボンオフセットされています。

「お弁当にGood!」マークが目印です!

参考:https://www.nichireifoods.co.jp/brand/obento-good/secret.htmlhttps://www.nichireifoods.co.jp/chikyu-good/support/

株式会社トノハタ

株式会社トノハタは、食品業界で初めて環境省からカーボンオフセット制度において認証を取得しています。

梅干し生産における工場の排出量から輸送までの全てのCO2排出量をオフセットしています。

対象商品には、認証指定ロゴを貼付しています。

参考:https://www.env.go.jp/content/900522280.pdfhttps://www.tonohata.co.jp/images/pdf/carbon-offset07.pdfhttps://www.tonohata.co.jp/company/cof/

西鉄旅行株式会社

旅行をカーボンオフセットされているプランに変更することも私達にできることの1つです。

Sustineriが支援している西鉄旅行株式会社では、バスハイクecoをブランドとして立ち上げ、カーボンニュートラルバスツアーを提供しています。バスハイクecoは、ツアーで排出されるCO2を九州エリアの自然由来プロジェクトに資金提供をすることでオフセットし、環境負荷を相殺できるツアーです。

福岡発着日帰り旅行がバスハイクecoの対象です。

2023年8月には6つのツアーが提供されました。

  • パワースポットをめぐる弊立神宮と高千穂の旅
  • しまてつカフェトレイン~日本海に近い大三東駅・ガラスの砂浜・フルーツバス停巡り
  • 唐津をたのしむ!呼子いかづくし
  • 初秋の原鶴温泉 泰泉閣で温泉ランチ フルーツ狩り&草木染体験
  • ふくおか芸術の旅 お洒落なアトリエで陶芸体験と隠れ家で上質なランチを堪能
  • 姫島名物車えびを堪能!踊り食い付きフルコースときつね面の絵付け体験おおいたの  島・姫島ジオパーク

参考:https://www.nishitetsutravel.jp/bushike/eco

shopify Japan株式会社

shopify Japan 株式会社は、商品の配送に伴い排出されるCO2をshopify負担でオフセットしています。ブラジルナッツ認可区森林保護プロジェクトを通じてのオフセットです。

shopifyを使っているオンラインストアで、決済方法をshop payにするとオフセット対象となります。

参考:https://www.shopify.com/jp/blog/carbon-offsets

企業ができること:カーボンクレジットの購入

企業はカーボンクレジットを購入しカーボンオフセットをすることで、気候変動課題に貢献できます。ここでは、Sustineriが保有する豊富なクレジット創出プロジェクトの中から3つをご紹介します。

宮崎県門川県有林 森林吸収源活用モデル事業

この事業は、門川町のスギを主体とする県有林を適切に間伐などの管理を実施することでCO2吸収量を増加させることを目的としています。

これまでに、門川県有林387haのうち78haで定性間伐を実施しました。

森林経営活動は、CO2の吸収量の促進を助けるだけでなく、山元に利益を還元することにも繋がります。

家庭における太陽光発電設備の導入による CO2 排出削減プロジェクト(全国)

この事業は全国で展開され、家庭における太陽光発電設備の導入のサポートを目的としています。

家庭で消費する系統電力の一部を太陽光発電で代替えすることによりCO2排出量を削減することが可能です。

山形県における木質バイオマス燃焼機器の導入によるCO2削減事業

この事業は、化石燃料などの電力をバイオマス固形燃料(木質バイオマス)で代替えすることでCO2排出量を削減します。

燃焼時のCO2が実質排出されないと考えられているのが木質バイオマスです。Jクレジットの取引収入は、山形県が実施する環境保全活動に活用されます。

まとめ

カーボンオフセットは国内外でさまざまな企業が取り組んでいます。ここで紹介した事例を参考にして、あなたの企業でもカーボンオフセットに取り組んでみてはいかがでしょうか。

オフセット実施はSustineriが包括的にサポートします

Sustineri株式会社は、CO2排出量の算定とカーボンオフセットを手軽に実施できるクラウドサービス「Susport」を提供しています。オフセット対象のご相談から利用するクレジットの選定、オフセット実施、PRに至るまで、専門知見を持った担当者が一気通貫でサポートします。

カーボンオフセットの取り組みを通したサステナビリティ活動を検討している企業様は、お気軽にご相談・お問い合わせください。

問い合わせ先:https://sustineri.co.jp/contact/

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