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SDGs未来都市に選出! 小国町役場(熊本県阿蘇郡) / カーボンクレジット創出者インタビュー
特産の小国杉の特徴を生かし、大型木造建築群を建設。これまで実現できなかった低齢級林の搬出間伐を推進させることを最大の主眼に置いている小国町役場様に、クレジット創出までの背景や経緯など詳しくインタビューさせていただきました。
小国町役場様:穴井さん、長谷部さん
(インタビュアー:Sustineri社員)
クレジット創出のきっかけ
ーーー熊本県小国町は、2018年からSDGs未来都市に指定されるなど、意識的に環境貢献を行っている自治体だとお伺いしました。町役場としてはどのようなことに取り組まれているのでしょうか?
また、SDGs未来都市に選ばれた理由はどこにあるのでしょうか?
長谷部さん : 環境への取り組みとしては、 主に森林資源と地熱資源を活用したまちづくりを進めています。小国町は火山地帯に位置するため民間企業による地熱発電事業が進んでいる地域でもあります。
小国町は江戸時代から続く『小国杉』の産地でもあります。森林クレジット創出のプロジェクトは2010年頃から開始し、現在は町有林400 haのうち、約80ha分の森林クレジットの創出を行っています。
SDGs未来都市等に選定されたのは、やはり地域の森林活用と地域資源を活かしたエネルギーの地産地消を目指す取り組みが評価された点にあります。そしてこの取り組みを通じて町全体に地域の資源を大事にしよう、という考え方が根付いていたことも大きいのではないかと思っております。この考え方が現在の街づくりの柱になっているため、小国町が一体となって環境貢献に取り組むことができています。
ーーー素晴らしい取り組み、考え方ですね!クレジットについても2010年から始められているとのことで、他の企業や団体と比較しても、かなり早い時期に取り組みを開始されていると感じました。
日本では前例が少ない環境の中で、なぜ取り組もうと考えられたのですか?
穴井さん : 環境貢献を行うことで、林業復興と小国町のアピールを同時に行っていきたいと考えたからです。もともと小国町は江戸時代から250年続く林業の産地で、町内の大型建築を木造で作るなど、小国の資源を活用する取り組みを積極的に行ってきました。林業そのものの価値に加えて環境貢献を行っていくことで、林業にさらに付加価値をつけていきたいと思いからJ-クレジットの取り組みを始めました。実際に始めると、新聞に取り上げて頂いたり、環境省主催の環境フェア等に出展する機会を頂けたりと数多くの反響がありました。
<小国町の木造建築群>
事業の大変なこと・やりがい
ーーー森林が吸収するCO2をクレジット化する上で、特に苦労したことはありますか?
穴井さん : 当時はJ-クレジットの制度自体ができたばかりということもあり、森林クレジットの申請手続きについてご指導いただける体制が今のように整っておらず、審査いただく過程で苦労したのはよく覚えております。プロジェクト申請のための方法論は確立されていたので、その方法論に則った申請書類を提出するのですが、事務局側も当時は制度が出来立てで対応は手探り状態。まずは森林やその管理方法についてご理解いただくことから始めなければいけませんでした。木の状態を測定する機械の信頼性の説明からはじめ、申請内容をすべてご理解いただくのに想像以上に時間を要しました。
ーーーパイオニア故のご苦労ですね。当時の皆様のご苦労があったからこそ、現在のJ-クレジット制度の申請がより良いものに進化したのですね。
クレジット申請から認証されるまで、どのくらいの期間がかかりましたか?
長谷部さん : 期間としては大体7~8か月間ぐらいです。もともと森林経営計画に基づく管理を行っており、森林自体の手入れは問題なく、方法論で求められている適切な森林管理や施業などの条件面においてはスムーズに対応するができました。
ーーー脱炭素への対応から現在注目されているクレジット制度ですが、2010年当時は制度への認知度も低かったと思います。10年前と現在ではクレジットに対する認知度や周囲の見方に変化を感じますか?
穴井さん :10年前は“逆風”、現在は“追い風”が吹いているといった感覚です。クレジット販売当初にメディア等で取り上げられた際は、瞬間的にある程度売れましたが、その後売れ行きは低迷しました。しかし現在はSDGsや環境対策を重視する企業が増えたこともあり、コンスタントにご購入いただけるようになったと感じています。
ーーークレジットの販売状況が環境への意識の高まりを反映しているのですね。クレジット創出に取り組んでよかったな、と思うことはありますか?
長谷部さん :小国町のPRができたこと、町へ収入が入ること、そして企業さんとのつながりができたことです。先述の通り、色々な媒体で小国町の取り組みについて取り上げていただきました。またクレジットを販売することで資金に余裕ができ、その財源をもとに新たな取り組みを行う等、良い循環ができていると感じています。そして、クレジットを通して企業さんと提携を結び、小国町だけではなし得なかったような新たな事業に取り組める点も大きな収穫となりました。
ーーークレジットを創出したからこそ生まれた好循環ですね!
今後の展開と購入者さんへのメッセージ
ーーー貴社の今後の展開について教えてください。
穴井さん : “林業と環境の両立“を行っていきます。森林管理、クレジット創出に加え、小国町では林業と環境の両立を目指し、小国町の資源を活用した、地熱を利用したカーボンゼロの木材乾燥設備の建設などに取り組んでいます。環境への取り組みで先頭を走る中で、時には疲れて息切れしそうになることもありますが(笑)、意地でも取り組んでいきます。
ーーーこれまでの取り組みだけでなく、小国町のこれからにも注目ですね!最後に、オフセットを検討している方々へのメッセージをお願いします!
穴井さん : 創出された森林系のクレジットには、創出に至るまでのストーリーがあります。価格ももちろん大事ですが、私たちの思いや取り組みに共感いただき小国町のクレジットを活用してオフセットにお取組みいただければ嬉しいです。小国町には、林業を始めて250年の歴史があり、SDGs未来都市に指定されるほど、先進的な街づくりを行ってきた自負があります。クレジットを一つのきっかけとして、より多くの人に小国町の魅力を伝えていきたいです。
長谷部さん : これまで小国町では様々な取り組みを行ってきました。これからの小国町がどんな新しいこと、楽しいことをやるのか?と期待して待っていてもらえればと思います!
ーーーありがとうございました!
インタビューを終えて
Sustineri: クレジットの創出は、膨大な書類作成がある、時間がかかることなどから、一般的にはハードルが高く、創出に躊躇する団体さんも多いのが現状です。ですがお二人にお話しを伺うと、当時のクレジット創出の話をとても淡々とされているなと感じました。クレジット創出に取り組むことへのハードルはなかったのですか?と聞いたところ、「今までやってきたことにお金が入ってくるからやっただけです」というクールな回答。小国町の常に挑戦し続ける風土を感じる、素敵な皆さんでした。
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