創業140年企業!須山木材株式会社(島根県出雲市)/カーボンクレジット創出者インタビュー

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創業140年企業!須山木材株式会社(島根県出雲市)/カーボンクレジット創出者インタビュー

森林の荒廃を食い止め、循環型林業で地球温暖化を防止することを目的にJ-クレジット事業に取り組んでいる須山木材株式会社様に、クレジット創出までの背景や経緯など詳しくインタビューさせていただきました。

須山木材株式会社:担当者さん
インタビュアー:Sustineri社員)

クレジット創出のきっかけ

ーーーまずは須山木材さんの事業内容について教えてください! 

担当者 : 当社は島根県出雲市で木材の製造や輸入・販売を中心に行っております。今年で創業145年を迎えました。最近では木材を使用したキャンプ用品・アロマ・DIY素材などの雑貨を販売するECサイトを立ち上げました。また、1,000 haの社有林の森林保護活動にも注力しております。

ーーー創業145年目!明治時代から現在まで一貫して製材業を営まれてきたとは驚きです。長年自社の森林を管理してきた中で、なぜクレジットの創出を始めようと考えられたのですか? 

担当者 : お取引のある山陰合同銀行さんからクレジット創出のお話をいただいたことがきっかけです。私は輸入材を取り扱う関係でヨーロッパに行く機会が多いのですが、現地では10年ほど前から排出権取引について議論がなされていました。 
ヨーロッパに行く度に排出権取引が義務化される国が出てくるなど、クレジット創出の動きが活発になっていることを肌で感じていました。日本でも同様の潮流が生まれることを確信し、クレジット創出に踏み切りました。 

ーーー ヨーロッパでは日本に比べクレジット創出の動きが進んでいるとのことですが、具体的にはどのような動きが起こっているのでしょうか? 

担当者 : 当初ヨーロッパでも企業における排出権取引への参加は任意でしたが、現在では制度強化により排出権取引を行わない企業は活動が制限される状況になっています。日本でも2023年から東京証券取引所で本格的にカーボンオフセットを取り入れていく動きがあります。 
今後は日本でもJ-クレジット(省エネや森林管理などによるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度)が更に普及するのではないかと考えています。

事業の大変なこと・やりがい

ーーー森林が吸収するCO2をクレジット化する上で、特に苦労したことはありますか? 

担当者 : 森林の実態調査と、審査に必要な膨大なペーパーワークには大変苦労しました。森林の実態調査では幹の太さや木の高さ、土壌の栄養状態などを測定し、木の状態を調査します。調査は初めてということで作業に不慣れでしたし、また夏場の暑い中での作業だったこともあり測定にはかなり時間がかかったと記憶しています。 
クレジットを創出するには審査機関による審査やJ-クレジット制度委員会の承認を受ける必要があり、それらの審査書類では細部まで森林の状態を報告する必要があります。その準備に多くの時間を要し、結果的にはクレジット創出の手続きを開始してから実際に創出するまでに3年かかりました。

ーーー3年もかかったのですか!クレジットの創出には、膨大な時間と労力がかかるようですが、その分やりがいも多かったのではないかと思います。森林のクレジット化に取り組む中で得られたもの、感じられたことはありますか?

担当者 : クレジットの購入者や仲介していただいた地銀さん、創出者である当社の全員がwin-winの関係になれた点がことですね。地銀さん主催のクレジット売買調印式に参加させて頂いた際に、新聞やテレビなどのメディア取材も入り全国的に報道していただきました。クレジット売買による直接的な環境貢献に加え、クレジットに関わった全員が間接的にも環境活動への貢献をアピールできる良い場となったのが印象深いです。 
また、本業ではご縁のなかった様々な業種の方と関わることができた点も良かったと思っています。クレジットを創出した時点では、クレジットは工場や建設などのCO2排出の多い業種の方から購入されるだろうと予想していました。しかし実際には、居酒屋チェーンやケーキ屋、ゲームセンターなど多岐にわたる業種や幅広い地域の方からご購入いただき、多くの方と接点を持たせていただきました。

今後の展開と購入者さんへのメッセージ

ーーー貴社の今後の展開について教えてください。

担当者 持続的な環境保護と経済の両立を行っていきたいと考えています。国内で使用される木材の大半は輸入頼りです。少し前には、ウッドショックと呼ばれる輸入木材の価格高騰が深刻な問題となっていました。コロナ禍によってアメリカで住宅ブームが起き、木材の需給バランスが崩れた影響で日本に入ってくる輸入木材が極端に減った時期がありました。 
他にも気候変動対策の観点から東南アジアで木材生産が規制されるなど木材輸入の見通しも厳しく、将来的に国内では木材不足に陥る可能性が高いです。そのような情勢を踏まえ、自社で森林を保有・管理し、国産材を生み出すことは非常に価値があるものと考えています。 
本業の製材業と共に、社有林を管理することでJ-クレジットを創出、そこで得た資金は森林の管理保全に還元し、そして森林が豊かになることで木材事業も更に活性化させるという循環を作っていきたいと考えています。 

ーーーJ-クレジット創出による循環型林業ですね!貴社のような形で森林という資産価値を活用した排出権取引の活性化にSustineriとしてもお役に立っていきたいと思っています
最後に、オフセットを検討している方々へのメッセージをお願いします!

担当者 : クレジットを活用していただくことで、より良い社会を共に作っていければ嬉しいなと考えています。以前クレジットを購入していただいたケーキ屋さんに購入理由をお伺いしたところ、「私たちがあらかじめオフセットされたケーキを販売することで、お客様は商品を購入するだけで、間接的に環境に貢献できる仕組みが作れると思ったからです」と仰っていました。 
このような取り組み一つ一つによって、森林と経済が共に活性化され、気候変動対策にもなる。同じような取り組みが広がっていけば良いと思います。 

インタビューを終えて

Sustineri : 明治創業で140年以上続く老舗企業でありながら、ECサイトやクレジット創出など様々な挑戦を続けている須山木材様。森林の恵みを最大限に活かし、環境対策と経済の両立を追求する姿勢はまさにSDGsですね!

須山木材株式会社 会社概要

須山木材株式会社
〒693-0006 島根県出雲市白枝町139番地
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