中小企業が取り組むべき脱炭素経営とは?メリット・デメリットや取り組み方、事例を詳しく解説!
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気候変動に関する開示を求められる企業が増えている昨今、中小企業でも「脱炭素経営」に乗り出す企業は少なくありません。この、「脱炭素」の対応に遅れを取らないようにしたいと考える経営者や担当者の方は多くいるのではないでしょうか?
この記事では、中小企業が「脱炭素経営」をするメリットから、国からの補助、企業の導入事例まで広く紹介していきます。「脱炭素経営」を推進したい、「脱炭素経営」に興味のある担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
中小企業が取り組むべき「脱炭素経営」とは?
脱炭素経営とは、脱炭素の考え方を基に、気候変動対策を経営戦略に織り込んで行う企業経営のことです。
これからの気候変動対策は、単なるCSR活動の一環ではなく、リスク低減と成長のチャンスと捉え、気候変動対策に取り組む企業が増えると予想されています。
環境省は、脱炭素経営について詳しくまとめた資料を提供しています。こちらも参照してみてください。
中小企業が「脱炭素経営」に取り組むメリット
企業が脱炭素経営に取り組むメリットは、以下の3点です。
- 競合他社との差別化が図れる
- 人材の確保につながる
- ビジネスの幅が広がる
競合他社との差別化が図れる
日本経済新聞の調査によると、都内の1,030社の中小企業のうち、約60%が脱炭素への取り組みをしていません。
そのため、他の企業より早く取り組むことで、企業のイメージアップにつなげることができます。また、脱炭素化に向けて施策を講じている金融機関から融資を受けやすくなるメリットもあるでしょう。
人材の確保につながる
サステナブルな社会の実現に関する消費者意識調査結果によると、「地球温暖化/気候変動問題」を知って行動を変えた人の割合は増加傾向にあり、環境負荷の低い買い物をする人の割合は10代がもっとも高いです。
異常気象が深刻化していく昨今、環境問題に対する意識はますます高まっていくでしょう。そのため、脱炭素経営に取り組むことで、環境意識の高い人材を確保することができます。
例えば、脱炭素に関連する自社の活動や実績をホームページに記載することで、環境意識の高い若い世代に好印象を与えることができます。
ビジネスの幅が広がる
脱炭素の取り組みをアピールすることで、投資家や新たな取引先からの信頼を得ることができ、新しいビジネスチャンスを得る可能性もあります。
実際に日本貿易振興機構の調査によると、2022年度の段階で自動車業界を中心に、サプライヤーへ脱炭素に関する調達基準を提示する企業が増加しています。
例えばドイツにあるメルセデスベンツは、2039年までにカーボンニュートラルを達成できていない企業はサプライヤーから除外する方針です。
このように、脱炭素経営をしているかどうかがビジネスチャンスを左右することが増えてくると予想されます。
中小企業が「脱炭素経営」に取り組むデメリット
企業が脱炭素経営に取り組むデメリットは、以下の2点です。
- 初期費用や維持費がかかる
- 脱炭素を推進する人材の不足
初期費用や維持費がかかる
脱炭素を進めていく上で大切なことのひとつに、エネルギー設備を整えることがあります。しかし、省エネ設備や再生可能エネルギー設備を整えるにはかなりの費用がかかります。
環境省の省エネルギー改修にかかる費用によると空調機の更新費用が約16,000円と高く、全てを省エネにするとかなりの金額になることが分かります。
脱炭素を進めるために、国からは省エネ設備や再生可能エネルギー設備導入のための補助金が用意されています。しかし、補助金だけでは不十分なのが現状です。
<省エネルギー改修における延床面積当たりのイニシャルコスト>
(中小ビル改修効果モデル事業における診断結果の平均値)
脱炭素を推進する人材の不足
脱炭素が謳われるようになった現在でも、脱炭素に精通した人材が不足しているのが現状です。
内閣府「令和4年度年次経済報告書」によると、「必要なノウハウ、人員が不足している」を課題として回答した企業が約40%を占めています。
人材が不足していることが原因で脱炭素に着手できていない企業は多くあり、人材の育成や確保が求められています。
環境省が提示!「脱炭素経営」に向けた2つの枠組み
企業が「脱炭素経営」に向けた取り組みを示す主な枠組みは、以下の2点です。
- 再エネ100宣言 RE Action
- 中小企業向けSBT
1.再エネ100宣言 RE Action
企業、自治体、教育機関、医療機関等が、100%再生可能エネルギーに使用電力を転換することで社会全体の電力を100%再生可能エネルギーへと促進する仕組みです。
この組織は、一般社団法人再エネ100宣言 RE Action協議会が運営しおり、再エネ100%宣言、再エネ100%実践支援、情報発信等が活動内容として挙げられます。
参加するためには、2050年までに100パーセント再生エネに転換することを対外的に公表すること、再生エネを促進するための政策に賛同すること、消費電力量と再生エネ率を毎年報告することが求められます。
参加費は、企業の従業員数によって異なります。
2.中小企業向けSBT
中小企業向けSBTには、必須条件と追加条件が設けられています。Scope1と2の排出量が10,000t未満であること、再エネ以外の発電を所有していないことなど5つの必須条件と4つのうち2つの追加条件を満たすことが申し込みの条件です。
追加条件には、従業員数が250人未満であることなど細かく設定されています。
参照:中小企業向けSBT
中小企業が「脱炭素経営」に取り組む3つのステップ
中小企業が脱炭素経営に取り組む3つのステップは、以下の通りです。
- CO2排出量を見える化する
- CO2排出量を削減する
- 削減しきれないCO2をカーボンオフセットする
1.CO2排出量を見える化する
脱炭素に取り組む上で最も大切なことは、自社で排出しているCO2の量を把握することです。全体の排出量を見える化することで、どの部分の排出量を抑えるべきか的確な削減計画を立てることができます。
2.CO2排出量を削減する
次に取り組むことは、可視化した排出量をベースに、排出量の削減目標を立て、削減を実行することです。環境省は、削減対策の三本柱として省エネ、燃料転換、再エネ電気の調達を挙げています。
省エネでは、LED照明や高効率パッケージエアコンなど設備を新しく導入するだけでなく、空調機のフィルターの清掃、冷暖房の設定温度を緩和するなど既存の製品を工夫するだけで省エネに取り組めます。
燃料転換では、重油ボイラーを都市ガスボイラーやヒートポンプへ。焼却炉は電気加熱炉への転換などが求められています。
再生可能エネルギーの調達方法として環境省が推奨しているのは、電気事業者との契約、自社で発電する、再エネ電力証書等の購入の3つです。
3.削減しきれないCO2排出量をカーボンオフセットする
最後にすることは、どんなに努力しても削減できない排出量をJクレジットなどを購入してオフセットすることです。オフセットすることで、排出したCO2を埋め合わせすることができるという考え方のもと推奨されています。
Susutineriが提供する「Susport」では、事業活動で排出してしまうCO2排出量の算定から、カーボンオフセットまで全ての取り組みができます。
カーボンオフセットについて詳しく知りたい方は、「カーボンオフセットとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」、「Jクレジット制度とは?メリット・デメリットや取り組み事例、普及状況をわかりやすく紹介」も読んでみてください。
中小企業の脱炭素経営を支援する政府の取り組み
環境省が提供する支援策は、主に以下の2点です。
- CO2削減量に応じた設備等導入補助
- 工場・事業場の設備更新、電化・燃料転換、運用改善による脱炭素化に向けた取組の支援
CO2削減量に応じた設備等導入補助
環境省では、脱炭素に取り組む中小企業等を対象に、年間CO2削減量×法定耐用年数×5,000円/tCO2(円)。もしくは、総事業費の1/2(円)を補助しています。
電化・燃料転換を促進して、グリーンな経済社会へ移行することが目的です。補助対象設備として、空調機、給湯器、冷凍冷蔵機器、ボイラ、省CO2型換気、EMSなどがあります。
工場・事業場の設備更新、電化・燃料転換、運用改善による脱炭素化に向けた取組の支援
工場・事業場での設備更新や燃料転換など、脱炭素化を進め排出削減に取り組む企業を拡大することが目標です。
支援の仕方として以下の2つがあります。
- 脱炭素化促進計画策定支援
- 設備更新補助
1. 脱炭素化促進計画策定支援
専門の支援機関から効果的な排出削減施策のアドバイスや、「脱炭素化促進計画」の策定支援を受けられます。CO2排出量50t以上3000t未満の工場・事業場を保有する中小企業が対象です。補助金の上限額は100万円です。
2. 設備更新補助
「脱炭素化促進計画」を基に、電化・燃料転換等の設備の更新を対象に補助が行われます。
補助の対象は、工場・事業場単位でCO2を15%以上削減、システム系統でCO2を30%以上削減するエネルギー使用設備機器です。補助上限額は1億円ですが、電化・燃料転換、再生可能エネルギー設備などには上限5億円の補助が出ます。
中小企業における「脱炭素経営」の取り組み事例
今回紹介する企業は、以下の3社です。
- スタンダード運輸
- パブリック
- 三和興産
スタンダード運輸
株式会社スタンダード運輸は「カーボンフリー輸送」を目指し、2018年から健康経営と脱炭素経営に取り組んでいます。
軽油やガソリン、電力の使用量などからCO2排出量を算定し、グラフ化することで、排出量を見える化しています。
また、電力の再生可能エネルギーへの転換なども実施し、業界内で注目されています。
パブリック
廃棄物処理やリサイクルなどの活動しているパブリックは、次世代に繋ぐ企業になることを目指し、CO2排出量の抑制や再資源化に取り組んでいます。
まず、17拠点の排出量を算定し、排出量の多い分野と拠点を把握しました。そして、削減対策の洗い出しや省エネ最適化診断、電力使用量の削減などを行い、成果を出しています。
これらの行動により、社員のモチベーションアップや人材の獲得といった面でも効果が出ているようです。
三和興産
アスファルト合材の製造・販売、道路建設工事などを展開している三和興産は、SBT目標を達成するために、燃料転換や省エネ対策を実施しています。
CO2排出量を2025年までに2017年と比較して30%削減することを目標に、再生可能エネルギーの調達やエネルギー転換などを検討しています。
中小企業はSusportで脱炭素経営を実現しよう
脱炭素経営に成功している企業は、CO2排出量を知る・測る・減らすを計画的に行っています。いきなり減らすことから始めるのではなく、まずどの部分の排出量が多いのかを算定して減らすことが脱炭素経営をする上で大切です。
Sustineriは、CO2をはじめとした温室効果ガスをGHGプロトコルに則って算定できる「Susport」を提供しています。算定するだけでなく、クレジットを使ってそのままカーボンオフセットまで実施することも可能です。
経験豊富なエキスパートによるコンサルティングも提供していますので、CO2排出量の可視化に少しでも興味がある方は、ぜひお気軽にお問合わせください。